超個人的刑法総論レジュメ③ (刑法の適用範囲)

第1章 刑法総論序説

Unit3 刑法の適用範囲

Ⅰ.刑法の場所的適用範囲

1、属地主義

 「日本国内」で行われた犯罪は、日本刑法の適用がある(§1Ⅰ)

 ※国外にある日本国籍の船舶・航空機についても同様(旗国主義)(§1Ⅱ)

 ※犯罪行為地の一部でも日本国内にかかっていれば、日本刑法の適用可(遍在主義)

 ※共犯行為が国外であっても、正犯行為が国内であれば、共犯に対する適用可

2、属人主義

規定されている犯罪において、日本国民であれば国外犯でも日本刑法の適用可[1](§3)

→二重処罰の危険性

⇒刑§5に調整規定(ただし、任意的減免規定)

3、保護主義

 日本刑法でないと保護されない法益に対する罪については、行為者・行為地の如何を問わず日本刑法の適用可(§2)

4、消極的属人主義

 一部の犯罪については、日本国民が被害者である場合の国外犯について日本刑法の適用可(§3の2)

5、世界主義

 人類共通の法益に対する罪に対して、行為者・行為地の如何を問わず日本刑法の適用可(§4の2)

 

Ⅱ.刑法の時間的適用範囲(←遡及処罰の禁止)

1、犯罪時

 実行行為が行われた時点で、罰則が施行されていることが必要

2、刑の廃止

 犯罪時に罰則が存在しても、裁判時に罰則が存在しない場合(すなわち刑が廃止された)は、免訴の判決が言い渡される(刑訴§337②)

 ※「従前の例による」規定に注意

3、刑の変更

 犯罪後に刑が変更された場合には、その中で最も軽い刑で処断される(§6)

 

[1] ただし、警察権はその国家固有のものであることに留意する必要がある。